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【DIC(播種性血管内凝固)の治療】基礎疾患別

播種性血管内凝固症候群(DIC)は、究極の血栓症と言える病態です。

医療関係者の方のご訪問もあるのではないかと思います。医療関係者用には、以下の大学病院ブログをリンクいたしました。

【DICの医学記事】(大学病院ブログ
播種性血管内凝固症候群(DIC)全記事が図解です。
DIC(病態・診断・治療) ← 詳解記事です。


このブログの右サイドにあるカテゴリー「播種性血管内凝固」からも、関連記事をご覧いただくことができます。カテゴリー項目の下から10番目です。

さて、DICには必ず基礎疾患が存在します。DICの治療の上で、基礎疾患の治療が最も重要であることは論を待ちません。しかし、基礎疾患の治療のみでは多くの場合は不十分で、DICのため最悪の転帰となることがあります。基礎疾患の改善を期待している間に、DICが原因で救命できないというようなことは絶対に避けなければいけません。

DICの治療法ですが、多くの教科書、文献で、お薬別に記載されているものが多いように思います。しかし、これでは実際の臨床ではあまり役にたちませんので、このブログでは大胆に基礎疾患別の治療を書かせていただきます。

基礎疾患別の治療の記載があまり見られていない最大の理由は、専門家によって意見が一致しない部分が多いためではないかと推測しています。しかし、この場は、ブログ(管理人の日記)ですので、大胆に書かせていただきたいと思います。なお、1年以内に、DICの新規治療薬(トロンボモジュリン)が登場することが期待されていますので、この記事はそれまでの有効期限ということになります。トロンボモジュリンが登場した時点で、改訂記事を書かせていただく予定です。

基礎疾患の治療は全てに共通ですので、割愛いたします。
また、DICの確定診断がなされていることを前提とします。以下、デアル調で書かせていただきます。

特に、凝固活性化が存在することがDICの本質であるため、TATの上昇を確認しておく。換言すれば、TATが全く正常であれば、DICは否定的であるので、DIC治療は必要ない。




1)敗血症
 アンチトロンビン濃縮製剤(アンスロビンP、ノイアート、ノンスロンのいずれか)を、1,500単位、3〜5日間。敗血症はほとんどの例で、アンチトロンビン活性が低下するため、検査結果を待たずに本製剤の投与を開始しても医学的には誤りでない。
 オルガラン1,250単位×2回/日(腎不全例や低体重例では1回/日に減量)を併用する。ただし、オルガランが採用されていない医療機関では、フラグミン 75単位/kg/24時間でも可
 標準ヘパリン(未分画ヘパリン)は推奨できない。標準ヘパリンの併用により、かえって予後が悪くなる可能性がある。
 トランサミンは、絶対に使用してはいけない。臓器障害を悪化させるためである。
 ビタミンK 10mg/日程度の予防投与(点滴)を行っておく。
 PTの著明な延長が見られたり、フィブリノゲンの著明な低下がみられる場合は、FFPを投与する(400〜600mL/日程度を必要に応じて繰り返す)。



2)固形癌
 多くの場合、全身転移をともなった末期癌症例であることが多い。換言すれば、早期の癌でDICを合併することは極めて例外的である。
 DIC治療を行っても、延命効果がほとんど期待できない場合は、DIC治療は行わないのも一つの考え方である。その場合であっても、出血予防のための、PCやFFPの輸注は意味のある場合がある。
 一方、末期癌であってもDICの治療を行うことで、十分な延命が期待できる場合も少なくない。この場合は、DIC治療の意義は大変高い。管理者は、末期癌でDICを合併していたにもかかわらず、DICの治療により、1年以上の延命が可能となった症例を蓄積している。

 オルガラン1,250単位×2回/日(腎不全例や低体重例では1回/日に減量)

 ただし、一部の固形癌(前立腺癌、悪性黒色腫など)に合併したDICでは線溶活性化が著しく、この場合は、オルガランではなく、フサン 200 mg/24時間による加療を行う。フサンの高カリウム血症の副作用には注意。フサンが無効になった場合でも、次の優れた治療が用意されているが、ブログでの紹介は割愛(使用法を間違えると致命的な副作用を合併するため)。



3)急性前骨髄球性白血病(APL)
 原則として、ATRAのみで十分。ATRAは、APLの分化誘導作用のみならず、APLに合併したDICに対しても著効する。また、ATRA投与中は、絶対にトランサミンを併用してはいけない。全身性の血栓症による死亡例の報告が多数みられているためである。
 ATRA不応例など、ATRAを投与できない場合には、フサン 200 mg/24時間によるDIC加療を行う。
 PCやFFPの補充療法は、必要に応じて行う。



3)急性白血病(APL以外)
 フサン 200 mg/24時間によるDIC加療を行う。
 PCやFFPの補充療法は、必要に応じて行う。



<播種性血管内凝固症候群(DIC)のリンク集>

【DICの専門医学記事】(大学病院ブログをリンクしました)
播種性血管内凝固症候群(DIC):全記事が図解です。
DIC(病態・診断・治療):詳解記事です。

【DICとは】
イントロです。
DICって何の略
研修医・医学部学生対応
DICの研修
DICを制する者は・・・
DICの基礎疾患

【症状・病態】
DICの症状
出血症状の理由
臓器症状の理由
出血症状vs.臓器症状
図解:敗血症に合併したDICの発症機序

【診断・検査】
診断基準の種類
急性期DIC診断基準の長所と短所
厚生労働省(旧厚生省)DIC診断基準の長所と短所
TATの威力
FDP・Dダイマーとは?

【治療】
DICの治療(基礎疾患別)
リコモジュリン(トロンボモジュリン製剤)  NEW!
血管内皮とトロンボモジュリン  NEW!
トロンボモジュリンの構造 NEW!
リコモジュリンによるDIC治療の成績 NEW!
リコモジュリンの今後の展開 NEW!
アンチトロンビン
トロンボモジュリン(最新兵器)
線溶活性化が強いDICに対する治療(フサン)
前立腺癌のDIC
APLのDIC
APLに対するATRAというDIC治療薬?
ウロキナーゼ?
トランサミンの是非

【実際の患者様の例】
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血栓止血の臨床ー研修医のためにー

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  • 2017.11.11 Saturday
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コメント
DIC治療をやめるポイントを教えていただけますか。凝固・線溶マーカーが正常に戻るまで、(DIC診断スコアから外れるまで?)は継続すべきなのでしょうか。
  • どんぐり
  • 2009/10/24 1:34 PM
どんぐりさん、この度はご訪問ありがとうございます。

DICの治療をいつまで継続するかですが、基礎疾患(および基礎疾患の状況)によって変わってくることが多いです。

1) 敗血症:
短期決戦タイプのDIC治療になると思います。TATの正常化、血小板数の回復(例えば10万以上)を目処にDIC治療を中止できると思います。ただし、感染症が遷延する場合は(DICの基礎疾患の軽快が遷延する場合は)、DIC治療が長くなることもありえます。

2) 固形癌:
固形癌にDICを合併する場合は、進行癌のことが多いです。化学療法可能な症例であっても、基礎疾患のコントロールが厳しいことが多く、その結果DIC治療が長期化することが多いです。

3) 急性白血病:
TAT、FDP、Dダイマーの正常化がみられたら、DIC治療を中止できます。

原則論で書かせていただきましたが、やはり個々のケースごとにそのつど慎重に判断することになると思います。

以上、分かる範囲内で書かせていただきましたが、回答になっていますでしょうか。
  • あーちゃん
  • 2009/10/24 2:37 PM
ご回答ありがとうございます。
DICについて勉強中です。専門書を見ますと治療薬についての記載はありますが、薬をやめる基準といいますか、ポイントがあるのかと思い質問させていただきました。まだまだ経験が少なく未熟者ですが今後ともよろしくお願い致します。
  • どんぐり
  • 2009/10/26 11:45 AM
肺癌が原因で脳梗塞を繰り返している知人がおりまして、勉強させていただいています。ありがとうございます。
質問させていただきたいのですが、経口抗トロンビン薬は固形癌によるDICの治療薬とはなりえないのでしょうか?
ヘパリン類との作用の違いが今一つ理解できません。
初歩的な質問で申し訳ないのですが、よろしくお願い申し上げます。
  • たーちゃん
  • 2012/06/13 11:07 AM
たーちゃんさん、この度はご訪問ありがとうございます。

確認もさせていただきながら、分かる範囲内で書かせていただきます。


「肺癌が原因で脳梗塞」
直接はつながらないのですが、これ以上の情報はありませんでしょうか。
心房細動はないのでしょうか?
また、脳転移は完全に否定されていますでしょうか。

強いてこじつけで考えますと、肺癌のために凝固亢進状態(血栓ができやすい状態)になっている、それで脳梗塞を起こしているということでしょうか。

経口抗トロンビン薬は、ダビガトラン(日本での商品名:プラザキサ)のことを指しておられるでしょうか。
世界的にも検討結果はないと思いますが、プラザキサは理論的にはDICに有効ではないかと推測しています(ワーファリンは無効です)。

イグザレルト、エドキサバンもDICに対して有効かもしれないと思っています。

ただし、いずれもDICに対して認可されていませんし、エビデンスもありません。私の勝手な推測です。

「ヘパリン類」
・ ヘパリン類はいくつかの活性型凝固因子を抑制します。
・ 注射薬(点滴)です。
・ アンチトロンビンを介して効果を発揮します。

プラザキサ
・ 活性型凝固因子の一つであるトロンビンを抑制します。
・ 経口薬です。
・ アンチトロンビンを介することなく効果を発揮します。


イグザレルト、エドキサバン
・ 活性型凝固因子の一つであるXaを抑制します。
・ 経口薬です。
・ アンチトロンビンを介することなく効果を発揮します。

以上、分かる範囲内で書かせていただきましたが、回答になっていますでしょうか。
  • あーちゃん
  • 2012/06/13 2:29 PM
丁寧なご回答をありがとうございました。おっしゃるように肺癌のために凝固亢進状態になっているということでした。プラザキサを内服して、Dダイマーの値が、7.5位から3.5程度(単位はわかりません)に低下したとのことでしたが、依然月単位で脳梗塞が起こっているようです。
さらに質問なのですが、
オルガランの注射に変更することで改善が期待できるでしょうか?TAT、FDP、Dダイマーの正常化を目指して容量を調整することが可能なのでしょうか?
  • たーちゃん
  • 2012/06/13 2:50 PM
たーちゃんさん、コメントありがとうございます。

プラザキサをオルガランに変更して有効かどうかは、試してみないと分からないのではないかと思います。

オルガランに切り替えることを試す場合は、DIC用量で良いと思います。
それ以上に増やすことはデータがないので危険ではないかと思います。

以上、分かる範囲内で書かせていただきましたが、回答になっていますでしょうか。
  • あーちゃん
  • 2012/06/13 3:12 PM
ありがとうございました。
データはないけれども、理論的にはプラザキサもヘパリン類と同様の効果が期待できるということなのでしょうか。
WEBで検索した範囲では、癌に伴う凝固異常については情報が少なく、疑問に思っていました。ありがとうございました。
  • たーちゃん
  • 2012/06/13 3:28 PM
母が昨年入院後、DICから多臓器不全へと進行し回復することなく死亡したのですが、治療について疑問な点が多々あり教えていただきたく助言をお願いいたします。

カルテを見るとDICに対してのアプローチと思われる行為は血小板の輸血くらいしか見当たりませんでした。(血小板数が6000まで低下した時点で開始)

またもともと末期の腎不全で維持透析を行なっており、その際の対凝固薬としてナファタットを使用していました。

ですが、結局病状の進行から血圧低下により透析ができなくなり、最後の透析日から4日後に息を引き取りました。

基礎疾患については存命中は診断がつかず、死後病理解剖にて悪性リンパ腫であったと言われました。

このような病態からやはり回復は難しかったのでしょうか。


長々と申し訳ありませんがよろしくお願いいたします。
  • にゃあたん
  • 2013/02/23 9:54 AM
にゃあたんさん、この度はご訪問ありがとうございます。

透析状態で、悪性リンパ腫も発症し、かつDICの合併したということでしょうか。
確かに、かなり厳しい状況だと思います。

確認ですが、DICの原因は悪性リンパ腫そのものでしょうか、あるいは感染症などのその他の合併症もあったのでしょうか。

DICのデータが、血小板数以外分かりませんので、何とも言えないというのが正直なところです。
ただし、透析状態で、悪性リンパ腫、DICということですと、相当厳しいということは間違いです。

すいません、お答えにならず申し訳ございません。
  • あーちゃん
  • 2013/02/24 8:08 PM
あーちゃん先生、ご回答ありがとうございます。

血液検査の詳細なデータがないので主治医が何をもってDICと判断したのか不明です。
Dダイマー位しか確定するための数値としてはカルテに載っていませんでした。
改めて病院で血液検査内容の開示をお願いしてみようと思います。


カルテにメモのある範囲で読み取れるのはこれくらいでした。

D-ダイマー → 2.57 2.27 → → →
白血球数 → 4.4 → 6.2 5.5 15.3
赤血球数 2.41 → 2.17 2.54
ヘモグロビン 7.4 7.8 6.5 7.7 8.1 7.7
血小板数 23 19 6 9 11 22
AST(GOT) 56 48 105 229 178 312
ALT(GPT) 47 44 79 99 87 96
CRP 3.22 → → 8.64 8.21 5.93
LDH → → → 378 426 692

感染症についてですが、入院時の検査では何もなかったようです。


気になる点としては入院から亡くなるまで約2週間で、最後の5日間に急激に全身状態が悪化したことです。
入院した経緯がややこしいので悩ましいのですが。。箇条書きしますと。。

・透析病院に発熱精査目的で入院(自歩にて)
・翌日に夜間トイレで意識喪失し転倒、顔面損傷
・念のため提携している大学病院へ搬送
・急性硬膜下血腫で緊急手術の可能性、血小板減少と発熱について輸血と精査必要と説明受ける。脳外科医が別の患者オペ中のため、B総合病院へ転院→脳外科へ
・転院したものの手術適用の症状ではないと診断、自然吸収を待つ経過観察となった。全治1ヶ月。
・入院時に血小板減少と発熱を認めていたが至急対応する必要はないと血液内科等のコンサルなし。
 前医 1.9万/μL 
 B病院到着時 2.3万/μL
・転院以降、透析→発熱〜39℃台→解熱剤投与(メチロン注射)→解熱を繰り返す。
・入院8日目に血小板値が0.6万/μLまで低下。貧血も進行。  照射濃厚赤血球2単位、照射濃厚血小板10単位輸血
・血小板は10単位を計3回実施。
 血小板数の推移 0.6→0.9→1.1→2.2万/μL
脳は血腫の増大認めず、その代わり肝機能障害、胸水、脾腫、と様々な内科的症状が出現

元々肝機能に異常はなく、各ウィルス検査も陰性
本人は腰が痛いとか全身の痛み(疼痛)を訴えていました。
以降、総合内科、消化器内科コンサルと迷走したものの診断つかず、心肺停止に至る。
(蘇生の際見た母の体は目を疑うほどパンパンに膨らんで、黄疸もひどかったです。)


もはや血小板数が低値著明なため生検等が不可能だったとのこと。
また、最後は免疫力が低下して易感染により敗血症を発症したかもしれないとも発言ありました。
輸血が予後に悪影響したのでは医師に聞いたが、輸血は影響なかったと言われる。


死亡診断書は多臓器不全/DIC/不明熱 でした。
ちなみに病理診断では末梢性T細胞性リンパ腫/ステージ犬箸海譴泙秦膿佑砲脇餡鬚蔑琉茲任靴拭

DICではなく別の出血傾向であった可能性はあるのでしょうか。
もしくは血小板減少は骨髄転移等が原因と捉えたほうが妥当でしょうか。

長々しつこく申し訳ありませんがよろしくお願いいたします。

  • にゃあたん
  • 2013/02/25 2:16 PM
にゃあたんさん、コメントありがとうございます。

Dダイマーは、2回測定されたのでしょうか。
確かに、DダイマーはDICと言えるレベルではないようです。
FDP、フィブリノゲンなどの、その他の凝固線溶関連データはないでしょうか。

明らかな貧血もありますが、以前からでしょうか。
腎性貧血と言われていますでしょうか。

血小板数は確かに著明に低下しています。
MPV、PDWは分からないでしょうか。
いずれも血小板関連マーカーです。あまり臨床医が意識することのないマーカーですが、MPV、PDWで病態が深く分かる場合があります(難点はあまりに血小板数が低下していると算出されない点です)。

黄疸があったとのことですが、ビリルビン(Bil)は如何だったでしょうか。

「病理診断では末梢性T細胞性リンパ腫/ステージ&#65533;」
すいません、ステージ&#65533;が、文字化けで分かりませんでした。
リンパ腫は、どこどこの臓器に浸潤していましたでしょうか。
特に、骨髄浸潤があったのかどうかが気になります。

「DICではなく別の出血傾向であった可能性はあるのでしょうか」
凝固のデータがほとんどありませんので、良く分からないというのが正直なところですが、血小板数低下の原因は、DICのみとは限りません。

たとえば、リンパ腫が骨髄浸潤していればそれだけでも血小板数が低下します。

「血小板減少は骨髄転移等が原因と捉えたほうが妥当でしょうか」
同上です。病理検査で分かるはずですが、どうだったでしょうか。

以上、分かる範囲内で書かせていただきましたが、回答になっていますでしょうか。
  • あーちゃん
  • 2013/02/25 2:56 PM
あーちゃん先生、丁寧なコメントありがとうございます。

凝固線溶関連データは入手した診療記録のコピーには含まれていませんでした。
血液検査データは指定して開示請求しないといただけないのかもしれません。

貧血はご指摘の通り腎性貧血があったと思います。入院前はヘモグロビン10.0前後だったと思います。

ビリルビンは上昇していました。
T-Bil 4.9 → 7.5 → 12.6
D-Bil 4.3 6.4 10.5

文字化けの部分はステージ4です。すみません。

病理解剖の詳細は

所見
A.悪性リンパ腫(末梢性T細胞性リンパ腫:PTCL-NOS )

1. 腹腔リンパ節:脾周囲リンパ節は最大25x15x20mm大に腫大しており、通常のリンパ節構築はみられず、びまん性の広がりが観察される。その中に大型の不整形核を有する異型リンパ球が散在性に混在。

2.腫瘍の広がり
a)肝臓(1800g):類洞内に大型の異型細胞が散在性に分布。
b)脾臓(350g):赤脾髄内に大型の異型細胞が分布。血球貧食像。
c)骨髄:髄腔内に同様の異型細胞が散在性に
分布するが集族?はない。軽度の血球貧食像を示す過形成性骨髄。
d)腹水(90ml):CD3陽性の大型の異型細胞が混在。

とあります。

また可溶性IL-2 異常高値との記載ありました。

リンパ腫や血液疾患は難解なので先生方に説明いただいてもわからないだろうと(確かにそうです)、端的に話をされるのでますます何で?という思いでいましたが、あーちゃん先生のご説明で少しずつ納得できてきました。

生きているときにリンパ腫だと診断がつかなかったのが残念です。
  • にゃあたん
  • 2013/02/25 6:56 PM
にゃあたんさん、コメントありがとうございます。

病理所見からは、少なくともリンパ節、肝臓、脾臓、骨髄、腹腔に浸潤していたようです。

「また可溶性IL-2 異常高値」
数字は分かりますでしょうか。おそらくびっくりするような高値だったのではないでしょうか。

やはり、悪性リンパ腫の状況は、かなり厳しいようです。

「生きているときにリンパ腫だと診断がつかなかったのが残念です」
お気持ちは痛いほど拝させていただきますが、透析もなさっていた状態ですし、これはやむを得なかったかも知れません。
もし、生前にリンパ腫の診断がついていましても、厳しかったのではないかと感じます。

ただし、DICに関しましては、その関与はあまりなかったのではないかと推測いたします(Dダイマーのデータしかありませんので、推測に留まりますが。。。)

以上、分かる範囲内で書かせていただきました。
  • あーちゃん
  • 2013/02/25 8:08 PM
あーちゃん先生、

ご回答いただきありがとうございます。

そうですね、75才という年齢からもたとえ病名が判明しても治療に耐えられなかったかもしれません。

可溶性IL-2の数値はカルテにはありませんでした。
検証できるような数値を持ち合わせておらず申し訳ありません。


もうひとつだけ、質問させてください。
DICからは離れてしまいますが。。

貧血のため濃厚赤血球2単位を輸血したと前に触れましたが、このときは低カリウム血症(2.5-3.0位)のでカリウム除去のフィルター等の使用はせず実施したそうです。

亡くなる直前は逆に高カリウム血症(6.95)と上昇しており、溶血等による反応でしょうか。
吐き気嘔吐症状が強かったので禁食だったのと点滴はカリウムを含んでいないものだったので、
カリウム値が上昇した要因は何だったのか気になります。

  • にゃあたん
  • 2013/02/26 1:10 PM
にゃあたんさん、コメントありがとうございます。

「亡くなる直前は逆に高カリウム血症(6.95)と上昇しており、溶血等による反応でしょうか」
全てのデータをみませんと良く分からないというのが正直なところです。
一般論としましては、重症化に伴い腎障害が進行してカリウムが上昇することはあります。

「カリウム値が上昇した要因は何だったのか気になります」
いろんな理由で上昇しますので、申し訳ございませんが、いただいた情報からのみでは判断できないところです。
充分に回答できずに、すいません。
  • あーちゃん
  • 2013/02/26 9:13 PM
あーちゃん先生

とんでもないです。
あいまいな質問を投げかけてしまい、申し訳ありませんでした。


  • にゃあたん
  • 2013/02/27 6:21 PM
初めまして。とてもわかりやすく、非常に勉強になります。
一つお尋ねしたいのですが。固形癌による慢性DICに対して治療することで長期経過をみれた症例を数多くご経験されているとのことですが、その場合は外来でオルガランを連日投与されてるのでしょうか?
  • ぽにー
  • 2013/10/02 9:04 PM
ぽにーさん、この度はご訪問ありがとうございます。
「外来でオルガランを連日投与」が可能な症例は、さすがにあまりないとおもいます。
私の経験例は、入院患者さんです。
ただし、外来通院できる場合には、外来でオルガランという方法も可能です。連日は負担が大きいと思いますので、隔日が良いかも知れません。ただし、隔日でもDICのコントロールが可能かどうか入院中に見極めることになると思います。

以上、分かる範囲内で書かせていただきましたが、回答になっていますでしょうか。
  • あーちゃん
  • 2013/10/03 6:23 PM
コメントありがとうございます。なかなか連日は難しいですよね。外来通院となるとヘパリンの皮下注を在宅でやって頂くのも一つの手段でしょうか?また、もしご経験があれば教えて頂きたいですが、固形癌に対する抗癌剤治療中に、DVTの増悪と軽快を繰り返す場合、入院から今後外来で予防治療をするならばどの薬剤が望ましいでしょうか?いろいろと質問してしまい申し訳ありませんが宜しくお願いします。
  • ぽにー
  • 2013/10/03 7:12 PM
ぽにーさん、コメントありがとうございます。

「ヘパリンの皮下注を在宅でやって頂く」
はい、今後普及していく可能性があると思っています。
現在は、抗リン脂質抗体症候群(APS)の習慣性流産対策として、ヘパリンの皮下注を行うことが多いと思いますが、固形願に起因する慢性DICに対しても可能性があると思います。
ただし固形癌に合併したDIC症例で、外来で経過をみれる症例はそんなにはおられないのではないかと思います。

「固形癌に対する抗癌剤治療中に、DVTの増悪と軽快を繰り返す場合」
癌の状況、血栓症の状況によって大きく話しが変わってきますので、申し訳ございませんが、回答は保留させていただいてもよろしいでしょうか。

この度はご訪問ありがとうございます。
  • あーちゃん
  • 2013/10/05 10:45 PM
いえ、丁寧なお返事ありがとうございました。また勉強させてもらいます。
  • ぽにー
  • 2013/10/06 10:47 PM
ブログ拝見させて頂いてとても助かっています。

DICの治療薬について分からないことがあります。

DICの治療薬は抗凝固薬であり、ヘパリン・トロンボモジュリン・メシル酸ガベキサートなどであると覚えました。しかし、抗凝固薬ならワルファリンではダメなのかなと思ったのですが、ワルファリンは経口内服薬なので、DICのように緊急性のある疾患では使えないのだと考えました。ここまで合っているでしょうか?

もう一つ、ワルファリンはヘパリンと違って凝固系カスケードのブロックする部位が違うから使えないのだという記述を見たのですが、ワルファリンでもビタミンK依存性因子(2,7,9,10)をブロックするので、もしワルファリンが静注できるようになれば、おおもとの第II因子をブロックするので治療薬として使えるのではないかと考えました。これについてはどうなのでしょうか?

よろしくお願いします。
  • N
  • 2014/10/12 2:03 PM
Nさん、ありがとうございます。

「抗凝固薬ならワルファリンではダメなのかなと思ったのですが、ワルファリンは経口内服薬なので、DICのように緊急性のある疾患では使えないのだと考えました。ここまで合っているでしょうか?」
ワルファリンがDICに無効なのは、経口薬だからではありません。
ワルファリンは、ビタミンK依存性凝固因子である、VII、IX、X、II因子の活性を抑制します。
この場合、「基質」としてのVII、IX、X、II因子を低下させます。
「活性型」凝固因子を抑制するわけではありません。

ヘパリンは、トロンビン(IIaと表記することもあります)、Xaなどの活性型凝固因子を抑制します。

DICは基質としての凝固因子を低下させてもコントロールすることはできません。たとえば、劇症肝炎は凝固因子が枯渇した状態ですが、やはりDICを発症します。

DICは、「活性型」凝固因子を抑制することではじめてコントロールすることができます。

ワルファリンはDICに対して全く無効ですが、新規経口抗凝固薬(リバーロキサバン、ダビガトランなど)は有効である可能性があります。新規経口抗凝固薬は、トロンビンやXaなどの活性型凝固因子を抑制するためです。
  • あーちゃん
  • 2014/10/12 3:15 PM
なるほど、活性型というのはII→IIaのIIaのようにactivatedのことですよね。活性型を抑制する必要のあるDICでは、基質を抑制するワルファリンは無効で、だからリバーロキサバンのような活性型を抑制するものであれば経口薬であっても理論上はDICに有効ということなんですね。

とても勉強になりました、ありがとうございました。これからも参考にさせていただきます。
  • N
  • 2014/10/13 5:40 PM
疑問に思っていることがありご質問させていただきます。心房細動に対してNOACを内服中の患者さんが、肺炎から敗血症・DICになった際にrTMを使用したのですが、その際に出血リスクが増大するものと考えてNOACを中止しました。しかしながら、NOACはDICの治療に使えるかもしれないとのことであり、内服を継続しても良かったんのでしょうか。内服を継続し、PT-INRやAPTTを頻回採血して過延長するようなら中止 などの対応でいいのでしょうか。ご教授お願いします。
  • 医師3年目
  • 2015/11/14 10:30 PM
この度はご訪問ありがとうございます。

とても重要なご質問だと思います。

心房細動に対してNOACを内服中の患者さんが、敗血症に起因するDICを発症されたということと理解しました。
ワーファリンはDICに対して禁忌ですが、NOACは有効である可能性があります。
「しみじみわかる血栓止血 vol.2  血栓症・抗血栓療法編」p. 100-101

ただし、敗血症は重症ですので、しっかり内服を継続できるかどうかの懸念があります。
また、rTMには抗炎症効果も期待できます。

確実な効果を期待するために、敗血症に起因するDICに対しては、NOACを中止してrTM投与の方が良いと思います。

なお、NOACとrTMの併用は、出血のリスクが高いですので、すべきではないと考えられます。

「敗血症・DICになった際にrTMを使用したのですが、その際に出血リスクが増大するものと考えてNOACを中止」ということで、適正な御判断だと思います。

以上、分かる範囲内で書かせていただきましたが、回答になっていますでしょうか。
  • あーちゃん
  • 2015/11/15 1:32 PM
迅速かつわかりやすいご回答をいただき大変ありがとうございます。研修医の時から「臨床に直結する血栓止血学」は大変わかりやすい内容であり、いつも困った時には参考にさせていただいております。これからも参考にさせていただきます。ご回答ありがとうございました。
  • 医師3年目
  • 2015/11/15 6:29 PM
ご愛顧いただき、ありがとうございます。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
  • あーちゃん
  • 2015/11/15 8:04 PM
いつもありがとうございます!
8年前ですが、父が検査入院中、DIC(Hb5.9 FIB 50.0, Dダイマー 52.8 Plt 8.5 PTINT 1.3)の中、マルクしていたのですが、DIC治療中(FPP2E MAP4E)でするものでしょうか?
もともと心筋梗塞などありましたが、血液検査の結果悪く、独歩入院、悪性リンパ腫疑い中のDICでした。
  • hisa
  • 2016/02/19 6:27 AM
hisaさん、コメントありがとうございます。
DICの合併がありましても、必要があれば骨髄穿刺は行っています。
なお、FPP2E MAP4EはDICの治療という要素もありますが(DICの補充療法)、おそらく他のDIC治療薬も投与されていたものと推測いたします。
  • あーちゃん
  • 2016/02/19 8:39 AM
いつもありがとうございます!
8年前の父の当時の説明やっと聞きに行きましたが、DIC の治療は、基本対処療法、輸血のみとおっしゃってて、そのほか特に治療はありませんでした。そして、バイアスピリンを中止していました。
マルクやった次の日に脳卒中で、亡くなりました。体調悪いときに、マルクやってなんだかやりきれなかったですし、自分は、血栓性素因(遺伝子検査済み)あるので、自分もそうなったら、どうなるんだろうと心配でもあります。
DIC の治療は、ヘパリンでしょうか?
妊娠中、ヘパリンカルシウムの自己注射で、無事出産しましたが、産後の血液検査も、ヘパリンもなく、妊娠中から言っていたのに。
忘れたのかなぁ、ヘパリン!!
  • hisa
  • 2016/03/10 10:41 PM
hisaさん、この度もご訪問ありがとうございます。

DIC の治療は、画一的なものはありません。
個々に、事情が大きく違うためです。

脳卒中と描かれていますが、脳出血でしょうか、脳梗塞でしょうか。
2/19に書いていただいているデータからは、血栓ではなく出血しやすいタイプの線溶亢進型DICではないかと推測しますが、データが揃っていないために断言はできません。

TAT、PIC、α2PI、FDPなどのデータがあれば線溶亢進型DICかどうかもっとはっきりします。

線溶亢進型DICでは、ヘパリンの使用がかえって出血を誘発する場合があります。
ヘパリンではなく、メシル酸ナファモスタットの方が良い場合が多いです。
線溶亢進型DICの診断に絶対的な確信があれば、「諸刃の剣」療法ともいうべき、ヘパリン&トラネキサム酸併用療法を行うこともあります。

ということで、ヘパリンは必須というわけではなく、むしろ使わない方が良い場合もあります。

なお、DICに関しましては、「しみじみわかる血栓止血 vol.1 DIC・血液凝固検査編」でも、分かりやすく書かせていただいています。
  • あーちゃん
  • 2016/03/11 8:41 AM
返信ありがとうございます。見てみましたが、上記の検査はしていなかった様子です。脳内出血でした。説明を聞いた先生には、DIC の治療はしていなかった、輸血だけと言われましたが、意識不明になってから、ヘパリン使っていたようです。もう一度、本をよく読んで見ます。いつもありがとうございます。
  • hisa
  • 2016/03/20 11:19 PM
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