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血栓症の臨床(図解)53:肺塞栓、深部静脈血栓症、整形外科術後

血栓症の臨床(図解)シリーズ
・血栓症の基礎:1234567891011121314
・抗血栓療法:15161718192021222324252627
・アスピリン vs. ワーファリン:
28293031323334353637383940
414243444546
・深部静脈血栓症/肺塞栓(DVT/PE):
47484950515253

深部静脈血栓症(deep vein thrombosis:DVT)や肺塞栓(pulmonary embolism)は、日本人には少ない病気ではないかと考えられてきた歴史があります。しかし、それは大きな間違いでした。

たとえば、整形外科手術には、高頻度でDVTを発症しますが、日本人での発症頻度と欧米人での発症頻度はほとんど変わりません。

人工股関節置換術後には、日本人でも 21.1%でDVTを発症します。この結果は、欧米人とあまり変わりません。日本人を対象とした他の臨床試験では、人工股関節置換術後のDVTの発症率はおおよそ30%という報告もあります。

人工膝関節置換術後には、日本人でも 47.8%でDVTを発症します。この結果も、欧米人とあまり変わりません。日本人を対象とした他の臨床試験では、人工膝関節置換術後のDVTの発症率はおおよそ60%という報告もあります。

日本人においても、整形外科術後のDVT発症率はとても高いことがわかります。

さて、人工股関節置換術(THA)後と、人工膝関節置換術(TKA)後を比較した場合に、なぜ後者の方がDVTの発症率が高いのはなぜでしょうか?
後者手術の場合は、手術に際して、手術部位の近位も遠位も駆血します。そのために、血流がより途絶しやすく、血栓を形成しやすいようです。


(続く)


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  • 2017.11.11 Saturday
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  • 19:59
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コメント
はじめまして。母のことでご相談します。現在71歳で、毎日数十キロ運転するほど頭しゃきしゃきの人なのですが、足の腫れ以外は先日自信満々の生活で片足で立ってバランスを崩し右大腿骨頸部骨折で手術入院することになりました。
 そこで、既往症について左脚に静脈に血栓があるかもといわれていたことを告げました。どなたかも書かれていましたが約40年前の出産が原因と見られます。階段、坂道で足が腫れることがずっと続いていました。本人曰く出産直後数年はもっとひどかったそうで、30年位は状態は変わっていなかったそうです。数年前にはエコーもしましたが発見できませんでした。今回骨折の手術のリスク確認のため血栓血管造影をし、血栓が複数見つかり、骨折の手術どころではなく、先生達によくこれで普通に生活していた、と驚かれすぐにそちらの処置のできる病院へ転院の手続きがとられ、移動も医師つき救急車でということになりました。深部静脈血栓症と判断された段階から移動前の病院でも血栓を溶かす?ための投薬が始まったそうです。血栓のある部分にネットを入れる手術をし、その後数日で大腿骨頭部置換手術の予定です。
 今回、先生の解説を読ませていただき病気については大分解ったのですが、この項目で整形外科手術でも起きるとのことで再発について心配しております。体質的に深部静脈血栓症ができやすいということもあるのでしょうか。また、全快後ですが長時間フライトの海外旅行などもビジネス以上がよろしいのでしょうか。よろしくお願いします。糖尿も重篤ではありませんがあります。後数日で手術です。。離れているので兄弟の話だけで不安です。
  • 2008/12/18 12:32 PM
この度はご訪問いただきありがとうございます。また、お母様のことを案じられるお気持ちが、よく理解できます。

確認事項も含めながら回答させていただきたいと思います。

1) 移動前の病院でも血栓を溶かす?ための投薬:おそらく、血栓を溶かす治療(線溶療法と言います。ウロキナーゼなど)ではなく、血栓をできにくくする治療(抗凝固療法と言います。ヘパリンなど)ではないかと推測します。極めて重症の場合は例外ですが、そうでない場合には線溶療法はむしろ出血の副作用などデメリットの方が大きいと考えられています。

2) 血栓のある部分にネットを入れる手術:おそらく、血栓のある部位よりも上である下大静脈にフィルター(下大静脈フィルター)を入れられたのだと思います。これは、あし(下肢)にできた血栓が肺に飛んで、肺塞栓になるのを阻止する目的で行われますが、完璧という訳ではありません。

3) 整形外科手術でも起きる:その通りです。今回の骨折でも深部静脈血栓症/肺塞栓の原因になります。加えて、過去にこの病気の既往がある場合には、極めて深部静脈血栓症/肺塞栓発症のリスクが高いと考えられています。

4) ですから、既にある深部静脈血栓症を背景にさらに悪化しないように、特に、致命症となりうる肺塞栓発症を予防するための充分な対応が必要になります。

5) 深部静脈血栓症がない場合には整形外科手術に伴う血栓症発症予防目的に、アリクストラ、またはクレキサンというお薬を使用することが多いです。ただし、今回は既に深部静脈血栓症がありますので、現在行っているであろうヘパリンによる抗凝固療法を継続することになると思います。このあたりは大変重要な部分ですので、現在行われている治療法(お薬名を含めて)、手術に伴いさらに深部静脈血栓症が悪化する懸念をどのように予防する予定でいるのか、主治医に確認しておかれた方が良いと思います。

6) 手術後に、おそらく現在行われているであろうヘパリンによる治療から、ワーファリンの内服治療へ移行することになると思います。永続的な内服が良いでしょう。

7) フライトですが、病状が安定するまでは控えた方が良いです。安定したのちにフライトする場合でも、上記のワーファリン内服を励行することに加えて、弾性ストッキング装着を行った方が良いです(もっともフライトとは関係なく日常生活でも弾性ストッキングを装着した方が良いです)。ビジネスクラス以上が良いですが、ビジネスクラスであってもロングフライト血栓症を発症することが知られていますので、注意が必要です。

以上、分かる範囲内で書かさせていただきました。回答になっているでしょうか?

お母さまが一日も早く前快されますことをお祈りしています。
  • あーちゃん
  • 2008/12/18 2:54 PM
 本当にご丁寧なご回答を頂き心から感謝いたします。
 実はその後、転院先で更に検査しましたところ血栓が相当古いこともあり移動の可能性が小さいということで血栓に関する手術が取りやめになりました。年齢もあるのでしょうか、その後の投薬含めの管理が大変というのもあるようでまず動けるようになるための骨折の手術は予定通り行うそうです。子供のころかから少しの階段でパンパンになる母のふくらはぎを見てきた私にとって今回の血栓の手術は心配もありますが不幸中の幸いで大きく希望のあるものでした。今後リハビリでも階段で訓練との話も前の病院では出ていましたのでまた違った意味での心配も出てきました。
 骨折の手術をしたのち、落ち着いた後に再度血栓のみの手術は可能でしょうか。セカンドオピニオンとして他の病院でかかることも考えています。子供のがおり、頻繁に母の元へいけないので落ち着いた後はできれば東京で病院へかかりたいのすが。。
  • nana
  • 2008/12/20 12:05 PM
下大静脈フィルターは結局入れない方針になったと言うことでしょうか。
下大静脈フィルターは、あし(下肢)にできた血栓が肺に飛んで肺塞栓になろうとするのを阻止する目的で使用されます。

しかし、前回もコメントさせていただいた通り、完璧ではありませんし、このブログでも記事にさせていただいているように、長期的的にはかえって不都合な場合もあります。もし入れなくても良いということであれば、それにこしたことはありません。
http://aachan1219.jugem.jp/?eid=4496

なお、血栓の手術と言いますと、血管内にできた血栓を取り除く手術を連想されるかも知れませんが、そのような手術治療がされることはほとんどありません(超重症例などで例外的に行われる治療です)。血栓除去しても、すぐまた血栓ができてしまうことも多いようです。

やはり、急性期のヘパリン点滴治療、慢性期のワーファリン内服治療が基本になります。

骨折の手術をしたのち、落ち着いた後に再度血栓のみの手術は可能でしょうか、と言うご質問ですが、このような選択肢はないと思います。骨折の手術が無事終わったら、あとは抗凝固療法を十分行うということになると思います。また、ワーファリン内服に加えて、退院されたあとは、弾性ストッキングを装着されることでも、あし(下肢)が腫れることはかなり少なくなると思います。

いずれにしましても、骨折、手術にともなう深部静脈血栓症&肺塞栓をいかに予防するかが現在の最重要テーマではないかと思います。つつがなく、手術が終わり、無事元気で退院される日が早くきますように心から祈念しています。

  • あーちゃん
  • 2008/12/21 8:34 AM
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