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血栓症の臨床(図解)73:抗リン脂質抗体症候群とは?

血栓症の臨床(図解)シリーズ
・血栓症の基礎:1234567891011121314
・抗血栓療法:15161718192021222324252627
・アスピリン vs. ワーファリン:
28293031323334353637383940
414243444546
・深部静脈血栓症/肺塞栓(DVT/PE):
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616263646566676869707172
・抗リン脂質抗体症候群(APS):
73



抗リン脂質抗体症候群(antiphospholipid syndrome: APS)は、最も高頻度に見られる後天性血栓性素因です。大昔から存在していた病気だと思いますが、この病気はその存在が明らかになって歴史が浅いのです。たとえば、管理人が学生時代には習わなかった病気です。

この病気に対する関心の高さの違いにより、医療機関でも診断率が大きく異なると思われます。

臨床症状として、以下のいずれかがみられ、
1)血栓症(動脈血栓症・静脈血栓症)
2)不育症(習慣性流産)


血液検査で、以下の1つ以上が陽性である場合に診断されます。
1)抗カルジオリピン抗体(特に、β2GPI複合体依存性のもの)
2)ループスアンチコアグラント


血栓症:
動脈血栓症としては、脳梗塞が最も多いですが、その他の動脈血栓症(網膜中心動脈血栓症、腸間膜動脈血栓症その他)もあります。
静脈血栓症としては、深部静脈血栓症や肺塞栓が多いですが、その他の静脈血栓症(網膜中心静脈血栓症、腸間膜静脈血栓症、脳静脈洞血栓症その他)もあります。
また、網状皮斑(livedo reticularis)が見られることがあります(皮膚の循環障害を反映)。

不育症(習慣性流産):
狭義の不妊症ではありませんので、妊娠する機会は普通通りですが、不育症(流産)を繰り返してしまいます。胎盤に、血栓ができることが原因と考えられています。


抗カルジオリピン抗体:
これは定量検査ですので、施設間差はありません。

ループスアンチコアグラント:
この検査が大問題です。複数の凝固検査を行って総合判断する定性検査です。検査の方法が標準化されておらず、大きな施設間差があります。
しかも、検査を行う上でのちょっとした工夫の有無で、検査結果が反転することすらあります。
この工夫や注意がない場合は、陽性率が大きくて低下してしまいます。



ということで、抗リン脂質抗体症候群の診断率が低くなる理由としては、以下のことが考えられます。

1)医師の関心度により、抗カルジオリピン抗体やループスアンチコアグラントのオーダー件数が大きく左右される。

2)ループスアンチコアグラント検査に対する細かい注意がなされているかどうかで、陽性率が大きく左右される。


抗リン脂質抗体症候群かどうかにより、治療方針が大きく変わってしまうことがありますので、この病気の診断はとても重要です。

本当は、抗リン脂質抗体症候群であるにもかかわらず適正な診断がなされていないために、適正な治療がなされていないことが多々あるのではないかと懸念しています。


なお、抗リン脂質抗体症候群のリンク集(← クリック)からも、関連記事をご覧いただけます。


(続く)

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  • 2017.09.26 Tuesday
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  • 23:29
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コメント
はじめまして。ちょうど一年ほど前に抗リン脂質抗体症候群と診断されました36歳女性です。
 こちらのサイトは詳しくのっていてとても勉強になります。

私は20歳の時に献血した時から 梅毒生物学的偽陽性がわかり 当時看護学生でしたが それなりに
調べてもよくわからずじまいでしたが、この病気が比較的新しいものだと知り納得です。
長年ナゾだったものがとけた感じです。

私は 文章書くのが得意ではないので 何から書いていけばちゃんとお伝えできるのか・・・
 だらだら文章で  ごめんなさい。

私は APSと診断されたものの しっかりとした血栓症は発症していないと思います。
1年前に診断されたきっかけは 指の紅斑や疼痛、冷感があり 血栓性静脈炎?DLE?か
SLEの疑いもあって調べたらわかりました。あとは 子宮内胎児死亡(15W)もありました。

で いくつか質問があります。(それぞれ 内容の合った記事に書いたほうがいいのかわからずまとめてこちらに書きました)

・APSの診断基準となる検査がかなり高値なんですが、抗体価と血栓症の発症率は 
 どれくらいの関係性があるのでしょうか? 抗体価がそんなに高くなくても血栓症になる方もいるし、
 高くても必ず発症するわけではないとは思うのですが、一般的には高いほうが起こりやすいのでしょうか?
私の検査結果は 抗CLβ2GPI抗体   125.00 U/ml以上(測定不能)
抗カルジオリピン抗体IgG  120.00  U/ml以上(測定不能)
ループス抗凝固因子    1.89       
(部分トロンボプラスチン時間  26.4%)
      (間をあけて3回測定しましたが結果は同じでした)

・血栓症の予防のために ワーファリンを内服していますが INRが 最初のころ1.71で 良好といわれていましたが
 ここ半年〜1年くらいは1.1〜1.2 ぐらいを保っています。先生は 脳梗塞などの方の指標だから 私のような既往のない
 予防の人は まあこれくらいでもいいのでは と言っています。よくわかりませんが もともと内服前1.1ぐらいだったものが
ワーファリン内服して1.2あたりというのは 内服している意味があるのかなあと思います。また 先生からは これで
防ぎきれるのかもまだよくわかっていない(医学レベルでの話)という説明も聞いていますが、どうなんでしょうか?

・できれば もう一人子供がほしいと考えています。現在はワーファリンを内服していますが 妊娠が分かり次第内服を中止していけば
いいと聞いています。でも こちらでは 挙児希望では処方しないと書かれていますが 内服中止しても薬の成分は
しばらく血中に残っていたりして よくないのでしょうか?

・以前7年ぐらい前でしたが流産(6w)した時 しばらくひどい頭痛に悩まされました。そのときに MRIをとってもらいましたが問題なしでした。APSと診断されてからは一度もMRIをとっていませんが、頭痛は 昔ほどひどくありませんが 不定期に現れます。
無症候性の脳梗塞もあると聞きましたが MRIは一度撮ってもらったほうがいいですか?

以上 お時間のある時で結構ですので よろしくお願いします。
  • チョコ
  • 2012/01/18 11:04 PM
チョコさん、この度はご訪問ありがとうございます。

チョコさんの血液検査では、抗リン脂質抗体の力価は著増しています。
力価がさほど高くなくても血栓症の発症のしやすさは変わらないという研究結果があったと思います。
ただし、私の個人的な印象では、力価の高い人の方が、血栓症になりやすいと思っています。
特に、抗CL-β2GPI抗体とループスアンチコアグラントは血栓症との関連が高い印象を持っています(抗カルジオリピン抗体のみが陽性の場合は病勢が低い印象を持っています)。

血栓症の検査ですが、
1) 脳MRIは定期的にチェックしたいです(ただし頭痛と脳梗塞は通常関連ありません)。1回目の検査で全く異常がなくても、2〜3年に1回はチェックしたいところです。
2) 下肢静脈エコーも定期的にチェックしたいです。今までの検査ではどうだったでしょうか。
3) 心エコーも1回はしておきたいです(APSに弁膜症を合併することがありえますので)。どうだったでしょうか。
4) 眼科受診(網膜血管の血栓の有無のチェック)は、されましたでしょうか。

ワーファリンは催奇形性の副作用があります。ワーファリン内服中は確実に避妊する必要があります(数週くらいまでは、気がつかないうちに妊娠していたということもあるのではないでしょうか)。
私は挙児希望の女性にワーファリンを処方することはまずありません。
加えて、チョコさんは現在どこにも血栓症が無い状態なのでしょうか。
もし全ての検査を行って血栓症が本当にどこにもないのであれば、私であればワーファリンではなくアスピリンを処方していると思います(アスピリンには催奇形性の副作用はありません)。

INR1.1〜1.2くらいであれば、ワーファリンは内服していないのとほとんど変わりません。このような不十分なコントロールでワーファリンを継続しているということは、主治医も本来ワーファリンは必要ないと考えているのかも知れません。このあたりは、どう聞いておられるでしょうか。

また、脳梗塞の予防目的であるなら、なおさらアスピリンの方が良いように感じます。

以上、分かる範囲内で書かせていただきましたが、回答になっていますでしょうか。
  • あーちゃん
  • 2012/01/19 9:39 AM
早速のお返事ありがとうございます。

抗体価ですが 他の方と比較したことがなかったので どうなんだろう・・と思っていました。
やっぱり高いほうなんですね。だからと言って血栓症になるかはわからないけど ちゃんと予防や
診療の継続はしていったほうがいいんだなぁと感じました。ありがとうございます。
ちなみにループス抗凝固因子は この値は 高いといえますか?
あと この値(体質?)は生涯かわらないんでしょうか?SLE疑いにて 治療でステロイドを内服していますが
その間でも まったく値は変動しなかったです。それともステロイドの量とかでもちがいますか?

検査のほうですが MRIは一度お願いしてみようと思います。下肢静脈エコーは1年前に 妊娠中の時、
産科の先生のオーダーで一度やりました。特に異常はなかったです。今の先生は特に検査は 何もしていく
つもりはないようです。心エコーも眼底検査もしたことはないです。

INR1.1~1.2は やはりあまり効果ない状態ですよね。先生は 積極的に抗凝固療法をしていったほうが
いいと言っています。自分が逆の立場ならしていくと。INRも3~4か月ごとにこまめに見てくださっています。
ただ 血栓症の既往がないのでどれくらいきっちりコントロールするか 多少迷っているようでした。
アスピリンも聞いてみたことがありますが、アスピリンでもいいと思うけど、、、という感じで ワーファリンのほうが
よいというような話だったのでそのままになりました。

血栓症の既往がなく アスピリンのみでの治療となると 通院としては 半年ごととかになるのでしょうか?
いまは INRのチェックもあり6〜8週ぐらいで通院していますが あんまり間が空くとなんだか心配です。

あと もう少しおしえてください。
・血液検査で フィブリノーゲンが 最近高値(432、423)ですが、これはワーファリンを飲んでいる影響でしょうか?
それとも血栓傾向をしめしているんでしょうか?フィブリノゲンの意味がいまいちわかりませんでした。先生は結果をみても
何も言わなかったので問題ないものと考えていましたが、どういった意味があるのかな と思いまして。
(ワーファリンを内服しているとPTが延長するように,関連のある検査なのか)

・少し前に 夜就寝ごろから朝方まで 胸の痛みと息苦しさのような違和感がありました。呼吸をすると痛かったです。
仰向けに寝ると増強し、横向きで丸くなると少し楽でした。寝つける程度でしたが 痛みで何度か目が覚めました。
朝起きると なくなっていました。なんだったのだろう?という感じです。肋間神経痛かなあ と。
そこで ふと疑問に思ったのですが、もし 肺塞栓が微小で起こって すぐ溶解して症状がおさまるなんてことはありえますか?
MRIをとったら過去にそういうことがあったとしたらわかるものですか?変な質問ですいません。
  • チョコ
  • 2012/01/19 9:01 PM
チョコさん、コメントありがとうございます。

抗リン脂質抗体の力価は変化しないことが多いです(ステロイド内服しても)。

血栓症の既往がなくアスピリンのみでの内服でも半年毎はあけ過ぎかもしれません(私であれば患者さんのご希望も伺いながら3ヶ月毎程度にするように思います)。

フィブリノゲンは若干高めですが病的というほどではありません。また、フィブリノゲンはワーファリンの影響を受けません。

胸の症状についてですが、やはり症状だけでは何とも言えません。
必要があれば造影胸部CTなどを行って調べることになります。

以上、分かる範囲内で書かせていただきましたが、回答になっていますでしょうか。
  • あーちゃん
  • 2012/01/20 5:28 PM

あーちゃん先生 お忙しい中 回答ありがとうございます。

気になっていたことが 聞けてとてもすっきりしました。
あんまり聞いたことがない病名だし、私としては 病気らしさもない状態なので
凝固療法とか血液検査とか 話が聞けてとてもうれしかったです。

私の姉もSLE+APS+ITPで やはり情報が少なくて困っています。 
私も 姉のほうも 気になることが出てきたら また質問させてください。

ありがとうございました。 
  • チョコ
  • 2012/01/22 12:26 AM
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