本日、以下のご相談をお受けいたしました。
ポイントを箇条書きにさせていただき、分かる範囲内で回答させていただきます。
(ご相談内容)
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・ 本年2月より某がん(臓器名は伏せます)で入院中。肝臓に転移あり。
・ 入院直前より左下肢が腫れはじめ、深部静脈血栓症の診断を受ける。
・ ワーファリン投与後、左足の裏側を中心に急速に紫斑が発生。
・ 主治医の診断は、
DIC+電撃性紫斑病+
深部静脈血栓症。
・ 本来であれば、基礎疾患である某がんの抗がん剤治療を開始すべきだが、上記の合併症のため治療リスクが大きい。
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確認もしながら、分かる範囲内で書かせていただきたいと思います。
1) 電撃性紫斑病は極めてまれな疾患です。この病気は、プロテインCという凝固阻止因子が著減して(しばしば10%未満)、皮膚の微小循環レベルに血栓が多発します。プロテインCのレベルはどうだったでしょうか。
2) 抗がん剤治療を考慮しているのであれば、深部静脈血栓症は最初の時点では、
ワーファリンでなく
ヘパリン類を選択する場合があります。病状を充分把握していませんので、事情があるのかも知れません。何か聞いておられるでしょうか。
3) DICの診断が間違いないのであれば、しかも電撃性紫斑病を疑っているのであれば、ヘパリン類(未分画ヘパリン、フラグミン、オルガランのいずれか)または他のDIC治療薬を使用したいです。DICの診断がなされた現在は、ヘパリン類または他のDIC治療薬を投与されているでしょうか。。
4) 深部静脈血栓症の診断は、何でなされたでしょうか。下肢静脈エコーでしょうか、それとも造影CTでしょうか。
5) DICの診断:血小板数、PT、APTT、フィブリノゲン、FDP、Dダイマー、可能であれば、TAT、PIC、アンチトロンビン、プラスミノゲン、α2PIのデータを知りたいところです。なお、深部静脈血栓症でもDICでもFDP、Dダイマーが上昇しますので、鑑別診断が悩ましい場合があります。また、深部静脈血栓症とDICの合併も、確かにありえます。
6) 抗がん剤治療ですが、深部静脈血栓症やDICがありますと、予後が厳しいことが多いのは事実です。しかし、基礎疾患の治療を行いませんと、さらに厳しくなりますので、通常は深部静脈血栓症やDICの治療を行いながら抗がん剤治療を行うことになると思います。
病状の全てを把握していませんので限界がございますが、分かる範囲で書かせていただきました。回答になっていますでしょうか。
病状が少しでも好転しますように、お祈りしています。
追伸:
病状から地元での治療を継続されるのが良いと思います。
移動は安全でないと思います。ブログでは限界があることは了解していますが、もしご質問がございましたら、コメント欄に書き込んでいただければと思います。
可能な範囲で、全力で対応させていただきます。